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NGOや企業、政府など300名が参加。課題解決の先へ。第1回HAPICを開催しました。

2020.03.30

2020年2月14日、東京都墨田区のKFC Hall&Roomsで第1回「HAPIC(ハピック)-HAPPINESS IDEA CONFERENCE」を開催しました。社会課題のグローバル化や複雑化が進む中で、さまざまなアクターが枠組みを超えて出会い、課題解決の先にある“しあわせ-HAPPINESS”について共に考えることで新しいアイデアやパートナーシップが生まれる場をつくりたい、という想いからスタートしたHAPIC。市民社会と官民学のトップランナー65名が登壇し、約250名の参加者を迎えて行われた全16セッションの白熱した議論と会場の様子をレポートします。
 
 
キーノートセッション「共に生きる、サステナブルな社会を目指して」-マルチセクターそれぞれの強みを生かした協働が、今、求められている
 
まずは、木内真理子JANIC副理事長のウェルカム・スピーチで1日がスタート。HAPICのネーミングに込められた想いを、「 私たち一人ひとりが考える“しあわせな社会”をつくるには、安心して声を上げることができる場が必要であり、HAPICはそのような場所として、参加者一人ひとりが発言し、他の人の意見を聞き、共に考える場でありたい」と説明し、積極的な参加を訴えました。
 
アムネスティ・インターナショナル香港支部理事長ライーズ・ベイグ氏のキーノートスピーチでは、香港では民主化デモと新型コロナウイルス感染拡大を受け、差別が表面化していると指摘。このような危機的状況においてこそ多様性を尊重し、さまざまなアクターがそれぞれの強みを生かして協働する社会へと価値観の変革が必要、という課題解決の最前線からの問題提起がなされました。
 

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ベイグ氏は急きょ香港からオンライン参加となりました。

 
続いては、外務省国際協力局審議官、NGO担当大使の桑原進氏、経団連SDGs本部長の長谷川知子氏、JANIC理事長の本木恵介、ジャーナリストで株式会社メディアコラボ 代表の古田 大輔氏が登壇。それぞれの立場から社会課題解決の取り組みと各々の強みを生かした協働のあり方を発表しました。パネルディスカッションでは、NGOにしかできないことは何か?という問いかけに、専門性や企業や政府とは異なる視点の提供、裨益者に寄り添った利益にとらわれない姿勢など、NGOだからこそ可能な活動への期待が上げられました。同時に、その裏側にある、「資金を要求しがち」「批判的」といったNGOのネガティブ(欠点)な特徴といった本音トークも展開。その上でいかにマルチセクター・パートナーシップを進めていくべきか、という有意義なディスカッションが行われました。また、インタラクティブな質疑応答が行えるクラウドサービスSlidoを使った会場とのコミュニケーションや参加者同士の意見交換タイムを通して、会場も盛り上がりました。
 

JANIC理事長の本木恵介からは、国際協力NGOの存在意義として3つの仮説が示されました。

 
 
課題解決の今とこれからがわかるブレイクアウトセッション
 
キーノートセッションの後は、個々人の興味・関心にあわせてセッションに参加いただく形式をとりました。その内容を少しずつご紹介します。

キーノートセッションでも言及された“NGOの存在意義”に関して議論を行ったのが「変化する国際協力業界~NGOは何を守り、何を変えるのか?」。世代や活動、地域性の異なるNGOから登壇者を迎え、“NGOらしさ”とは何か、NGOの現状と将来のありかたについて、グループワークを交え議論を実施。“組織の柔軟性”や“持続可能性”、“対話(わかりやすく伝えること)”といったキーワードが上げられました。
 

hapic

NGOのアイデンティティについての参加型ワークショップ。活発な意見交換が行われました。

 
では、NGOは具体的にどう変わっていくべきか―新しい事業や組織のありかたについて、政府、コンサルティング会社、NGOによる「コレクティブ・インパクトは、社会課題解決促進のエンジンとなるのか?」では従来とは異なる連携のあり方、新進気鋭のNGOが取り組む「5年間の100%テレワーク実施で見えてきた! 多様な働き方の秘訣と課題」では優秀な人材を惹きつける新しい働き方、「チームの可能性を引き出す“システムコーチング”」ではチームの相互理解のための手法について事例紹介やグループワークが行われました。
 
緊急支援NGOによる「進化する人道支援:最新国際基準とキャッシュ支援」と、各セクターの有識者による「『ビジネスと人権』行動計画(NAP)が社会を変える!」では、NGOがリードする課題解決に向けたグローバルな基準について、詳細や今後どう広めていくか、各セクターでの取り組みが紹介されました。また、「私たちは本当に安全な団体?~組織内で取り組む子どもと若者のセーフガーディング~」においては、NGO自身が守るべき行動規範について、日本のNGOでの取り組みとJANICのワーキンググループにおける議論の経過が発表されました。
 
今回のHAPICでは次世代が登壇するセッションにも多くの参加者が集まりました。「JICA が挑む国際協力のオープンイノベーション~JICA Innovation Questへの誘い~」ではJICA入職3、4年目の職員とプロジェクトに参画している民間企業の社員たちがSDGsゴール2(飢餓・食・栄養・持続可能な農業等の分野)の課題をテーマとした新規プロジェクトを紹介。若手ならではの新しい発想に会場からもたくさんの質問が寄せられました。対して、「Under 30:次世代NGOがつくる未来」では、若手NGOリーダーたちの葛藤や苦悩が語られ、同じ悩みを抱えるアクター同士が課題を共有し合える場の大切さが再認識されました。また、「最新動向をキャッチアップ!気候変動・生物多様性と持続可能な開発目標(SDGs)の今」でも、次世代NGOのSNSを活用した活動に大きな注目が集まりました。
 

若手NGOのセッションでは、次世代NGOの等身大のトークが参加者の共感を呼びました。

 
その他にも、「市民社会 スペース:CSOとODAのパートナーシップを考える」ではNGOとODAの関係性のあり方、「NGOの財務状況」では、NGOのこれからを考える上で必要となるNGOの財務状況の分析結果が議論され、さまざまな面から社会課題解決について考える一日となりました。また、急きょ開催された「香港における民主化運動」では、日本では一辺倒の報道しかされない香港の民主化デモについて、香港から生の声を聞くことができました。
 
 
さまざまな人と出会う場-ブースエリアではHAPIC限定オファーも
 
HAPICはさまざまな人が出会い、新しいアイデアが生まれる場を目指し、1日を通して複数回のネットワーキング・タイムをもうけました。会場のあらゆるところで、普段は会うことのないセクター同士の参加者が名刺交換をしたり、知人と再会し、人を紹介し合ったりする様子が、見られました。メインホールの入り口に設けられたブースエリアでは、6団体がブース出展。当日はHAPIC限定のサービスもご用意いただきました。
 

ブースエリアでの様子。ご出展頂いた団体のみなさまにあらためて御礼申し上げます。

 
また、JANICが博報堂グループと共に開発したSDGs普及啓発ツールの「ひとこと多い張り紙」の展示、ワークショップの紹介も行いました。
 

たくさんの参加者の皆様にオリジナルなひとこと多い張り紙を書いていただきました。

 

たくさんの参加者の皆様にオリジナルなひとこと多い張り紙を書いていただきました。

 
 
第2回HAPICに向けて-しあわせのアイデアをどうかたちにしていけるか
 
1日を締めくくったクロージングセッションでは、門田瑠衣子JANIC理事と山元圭太 元JANIC理事によるモデレートのもと、会場を巻き込んだ意見交換が行われ、1日を通して得た学びや意見を共有しました。また、日本のNGOをつくり上げてきた第一世代からも熱いエールが送られ、若手世代に大きな後押しとなりました。
 

一日を通し、グループや隣の席の人と意見交換をする時間を多くもうけました。

 
多くの皆さまにご参加いただきHAPICを開催できたのもひとえに協賛・協力・後援を頂いた団体、登壇者、来場者の皆様のおかげです。改めてお礼申し上げます。
 
セッションで「HAPPINESS IDEA CPFEREMCE」の「I」を「Idea(アイデア)」から「Implementation(実施)」に変えていく必要性について発言があったように、1日を通して得た多くの「しあわせのアイデア」をどのように「形にしていく」か、が第2回HAPICに向けて問われました。これからどう進化させていくことができるか、皆さまと一緒に取り組んでいければと考えています。
 
あらためて今回はHAPICへのご参加ありがとうございました。
今回お越しいただけなかった皆さまも一緒に、来年のHAPICで会いましょう!