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HAPIC2022で、NGO、企業、政府、学生など500名が「国際協力のリデザイン」を議論
2022.04.18
2022年2月13日から3日間、「HAPIC(ハピック)-HAPPINESS IDEA CONFERENCE」を開催しました。
様々なアクターが枠組みを超えて出会い、課題解決の先にある“しあわせ-HAPPINESS”について共に考えることで新しいアイデアやパートナーシップの創出を目指す「HAPIC」は、多くの皆さまに支えられ、3回目の開催を迎え、120名の政府、企業、NGOからのトップランナーにご登壇いただき、全体で560名の方々にご参加いただきました。
今回のテーマは、「国際協力をリデザインする」。急速に変化する国際情勢、未曾有の危機にある気候変動、COVID-19の蔓延による格差や分断の顕在化など、国際社会はいま、大きな転換を迫られています。「リデザイン」をキーワードに、これまでの活動に、新しいプレイヤーと多様なアプローチを組み合わせることで、一人ひとりが持続可能な社会の創り手となれる、そんな国際協力の再設計を目指しました。当日3日間の様子をお届けします。
オープニングセッション1「Redesign-世界のNGOからの挑戦状 これからの国際協力のヒントを探る」
2月13日、JANIC理事長の本木恵介の開会スピーチでHAPIC2022が開幕しました。
「これから市民の力がより求められる時代が来る。公平で平和な世界をつくるためには、セクターを超えた国際協力、私たち自身のリデザインが必要」と、今市民が求められていることは何かを投げかけました。
続いて、InterAction 事務局長のサム・ウォーシントン氏、Bond 事務局長のステファニー・ドレイパー氏、CCC 元事務局長/世界銀行 アカウンタビリティ・スペシャリストのソーユン・サルーン氏、(一社)SDGs市民社会ネットワーク 共同代表理事/(特活)関西NGO協議会 代表理事の三輪敦子氏、NPO法人アクセプト・インターナショナル 代表理事の永井陽右氏を迎えオープニングセッションが始まりました。
事前の収録映像も含め世界のトップリーダー6名がHAPIC2022のテーマ「国際協力をリデザインする」とはどのようなことか、各国の市民社会の現状と共にこれからの国際協力のあり方について意見を交わしました。
世界で大きな変化が起きている今だからこそ、「本質的なものは残し、変えるべきものは大胆に変化させる」ことの重要性が指摘され、国際協力に携わるNGOは問題解決へ携わる姿勢、セクターを超えていかに働きかけられるかが改めて問われました。そして、開催3日間を通して考えるべきテーマとして「シフト」「挑戦」という2つの重要なキーワードが示されました。

オープニングセッション2「Redesign-市民社会が考える『新しい資本主義』とは」
2つ目のオープニングセッションでは、READYFOR株式会社 代表取締役CEOの米良はるか氏、大阪大学大学院経済学研究科 教授の堂目卓生氏、特定非営利活動法人SALASUSU 代表理事の青木健太氏、NPO法人クロスフィールズ 共同創業者・代表理事の小沼大地氏を迎え、資本主義の成り立ちから市民社会での資本主義はどのような形であるべきかを議論。
資本主義はお金を回す単なる一つの社会システムであり、フェアな競争を通じて良いものが必要とされるところへ届くことを目指すことが必要、また、私達市民は社会的な立場を超えて共に助け合うこと、そしてお互いの「命」をどれだけ尊重できるかが重要であるという意見が出されました。
オープニングセッション3「Redesign-米中時代における日本外交と国際協力~危機に晒されている民主主義を守り、持続可能な社会に向けた日本の役割とは~」
最後のオープニングセッションでは、衆議院議員/自由民主党広報本部長の河野太郎氏、JICA緒方研究所 研究所長の高原明生氏、新外交イニシアティブ(ND: New Diplomacy Initiative) 代表の猿田佐世氏が登壇。米中の対立構造が続く中、持続可能な社会に向けて日本の姿勢はどうあるべきなのか、議員、独立行政機構、シンクタンクそれぞれの立場から問題提起がありました。
世界では「人間の安全保障」が危うい状況にあり、政治が安定せず、国民を保護しない国家も増えてきてる中、思想や価値観が異なる国や相手と対話を続けていけるかどうかが試されていることが確認され、日本国内の課題としてNGOと政府の協働、政府、民間、NGO内での活発な人材の移動が挙げられました。

セクター連携、人道支援、難民などのテーマに、3日間で31のセッションを実施
開催3日間を通し、セクター連携、人道支援、難民、組織開発などのテーマで31のセッションを実施しました。
「社会課題解決に向けた企業・NGO連携の可能性と課題」では、企業とNGOが連携して社会課題解決に取り組むためには、互いの違いを強みと捉えること、早い段階で目指すビジョンをすり合わせることの重要性を改めて確認。

「複雑化する国際社会と人道支援の未来-アフガン人道危機から-」では、今起きているアフガニスタン人道危機の事例をもとに複雑化し変化する国際社会の中で、人道支援を行う上で直面する葛藤、そして、人道支援のあり方をどうリデザインすべきか、外務省、議員、NGOの視点が議論を行いました。

「日本における難民・移住者の人権-私たちの社会の問題として-」では、日本で共に生きる外国人の人権や命の扱われ方について考えました。国際協力分野で向き合うべき問題はもはや途上国で起きていることだけではなく、身近な私達の生活にあることが共有されました。
「組織運営のリ・デザイン〜『多中心』の組織をつくるJANICの今」では、JANICが自己組織化組織を進める中でのリアルな葛藤や気づき・成長の道筋を紹介し、自己組織化に挑戦していきたい組織・団体が一歩踏み出すきっかけやヒントを提供する場となりました。
「<学生必見>国際協力とキャリア大質問会 ~ぶっちゃけトーク!〜」と、続編として実施した「<学生必見>国際協力とキャリア相談会~少人数で徹底解明」では、国際協力に従事する若手職員4名が、学生からのインタビュー形式でNGOやソーシャルビジネスのキャリアを紹介しました。

また、オンライン上の出展ブースや参加者同士の交流プログラムを実施し、2日目のネットワーキングレセプションでは、登壇者と視聴者の交流の場を提供しました。
3日間の学びを振り返るクロージングセッション。生活の中でできる小さなアクションを
3日間を締めくくるクロージングセッション「HAPIC2022収穫祭〜学びの言語化と共有〜」では、JANIC副理事長でもある認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者の鬼丸昌也が、参加者の皆さんと共に、HAPICを通して学んだことや感じたことを、言葉で視覚化することで振り返りました。
印象に残っているキーワードやもっと知りたい・学びたいと思ったテーマには、「人権」「リデザイン」「市民社会スペース」などが多くあげられました。また、命、共感などの概念、アフガニスタンやミャンマー、多文化共生、気候変動など、いま支援を必要としている個別の国やイシューも寄せられました。次回以降のHAPICに期待することでもさまざまなご意見をいただきました。
「国際協力をリデザインする」とは何か3日間を通して考えてきた今回のHAPIC。公平で平和な世界を実現するために、世界で今起こっていることに想いを馳せ、生活の中で小さなアクションを起こしていくことが引き続き重要であることが確認されました。

協賛・協力・後援をいただいたパートナー、登壇者、視聴者の皆さま、HAPICを共につくっていただきありがとうございました。改めてお礼申し上げます。
次のHAPICでまたお会いできることを楽しみにしています!